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! 注意!無理矢理的な表現があります。 苦手な方は読まない方がいいかもしれません。 Episode17-セーヴォト ![]() 太腿をセーヴォトの手の平が弧を描くように撫でていく。首筋に冷たい唇が落ち、耳朶を甘く噛まれて、ゾクリとした何かが背中を駆け上がった。 「……んんっ」 鼻に掛かったような自分の声に驚き、慌てて唇を噛み締めたけど、念入りに施され繰り返される愛撫に、全身から力が抜けていった。どうしてもそこは駄目だった。 「気持ちいいんですね」 低く掠れた囁きを吐息と共に吹き込まれ、まるで肯定するようにびくんっと体が大きくしなる。 「身体は快楽に正直なようだ」 からかう口調に、どうしようもなく自分がいやらい人間に思えて、羞恥に顔が熱くなる 。セーヴォトをきつく睨み付けると、その視 線すら楽しむように口の端を釣り上げ て、指先や唇を滑らせていった。その動きは躊躇無く、的確にあたしの弱い場所を暴いていく。 いくらなんでもこの状況で何をされるかなんて、分からない訳が無い。 いつかそうなるなら、あたしは、セーヴォトがいいと思ってた。……けれど、こんなのは、嫌だ。 「やめてセーヴォトッ!」 無駄だと分かっていながらも、あたしは全身を強張らせて首を振る。 叫ばないのはセーヴォトの脅しが怖かったからだ。間違いなく実行する、と思わせるものが強い口調と冷たい視線の 中に確かに存在した。 胸元を隠していた左手を掴まれ、屈んだセーヴォトは、膨らみの先端を咥え上目遣いで視線を向けた。 「んっ」 「無駄な抵抗は余計に男をそそりますよ?」 淡い緑にゆらりと深い影が散らつく。吸い込まれてしまいそうなその目が怖くて視線を逸らせると、それを咎めるようにちゅっと音を立てて強く吸われて、上擦った声が出た。 浮き上がった腰を押さえつけられ、そのまま口の中で熱い舌で転がされ嬲られる。 噛み殺せない声が絶え間なく零れて、二人しかいない静かな部屋に、響いた。 「ッ……あ……」 お腹の奥から這い上がってくる熱に戸惑う。 気持ちいいのか悪いのかよく分からない。セーヴォトから与えられる感覚は、自分の思考を 侵食して何も考えられなくなりそうで怖かった。こんな事をしてる場合じゃない。真相を確かめなくちゃいけないのに、 何もかも放り出してセーヴォトが与えてくれる『熱』に身を任せてしまいたくなる。 しばらく太腿を彷徨っていた左手がふいに上がってきて、足の付け根の際どい場所を撫で始めた。 「セーヴォト、……っ」 やめて。 非難の声を上げると、止めるどころか、その指は下着越しにその場所に触れてきた。 ひっと短い悲鳴を上げたその瞬間、下着の隙間から指が忍び込んできた。 「っ……あ」 指は、奥に隠された突起を探り当て、直接上下に撫で始める。微かに濡れた音が耳に入って、恥ずかしさに身を捩った。 その指から逃げようととっさに閉じようとした足に腕が強く引っ張られ、肩に鈍い痛みを感じた。 「いた…っ!」 思わず呻いてしまったあたしに、セーヴォトは素早く顔を上げ、痛む方に手の平を当てると短く呪文を紡いだ。 じんわりと温かいその光は治癒魔法だと分かった。遠ざか る痛みと引き換えに、セーヴォトの不可解な行動への疑問が頭を擡げたけど、 再開された指の動きにそれは、あっと言う間に思考の果てへ流れてしまう。 「ちゃんと感じて下さって嬉しいですね。こんな強姦紛いの行為にも」 濡れた音をあたしにわざと聞かせている、としか思えない指の動き。 身体の奥に潜り込んで、親指が固く膨らんだそこに当てられ、一定の速度で擦られる。 「こちらも少し馴らしておきましょうか」 左手がお尻の後ろに回され、その周囲をゆっくりと撫で上げ、つぷりと指が差し入れられた。 「っ……ぁッ」 鋭い痛みに身体が強張る。反射的に引いてしまった腰を無理やり引き戻された。 「まだ一本咥えただけですよ」 尖らせた舌で耳の中を舐られ、身体の奥をセーヴォトの長い指が掻き回す。引っ掛けるように指が曲げられ、ひっと短い悲鳴が喉に張り付いた、言葉じゃ表現出来ない感覚がそこから全身に駆け巡る。 やだ、これ。怖いッ 「ひゃんっんッ……、ぅあ……ッ」 思考を奪う位の熱が、身体の中心に集まっていく。 高い所まで無理矢理押し上げられて、そのまま落とされたその瞬間、視界が白く弾けて、滲む視界の中にいたセーヴォト の綺麗な顔が少し歪んで見えた。 「は……ぁっ」 セーヴォトの手の平が優しく背中を摩る。その度に、びくんびくんと身体が小さく震えた。 「初めて達した気分はどうです? 指が食い千切られるかと思いましたよ」 ……達した、の? 心の中でそう呟き、おぼろげながら納得する。 息苦しくて短い呼吸を繰り返していると、セーヴォトは濡れて光る自分の指 先を、ゆっくりとあたしの目の前に突き出した。肩で息をしながら、あ たしがぼんやりとした視線しか返せないでいると、それをまたすっかり濡れそぼったその場所に突き入れた。 「ひゃう……んッやぁっ触ら、ないでぇっ!」 あたしの言葉に耳を貸す様子も無く、セーヴォトは微笑みさえ浮かべて指を動かし始める。 「ッ……、ん、ぁっあ、は」 お腹の下辺りを擦られる度に、陸に上げられた魚のように体か ビクビクと跳ねる。与えられる感覚が強烈過 ぎて、頭はとっくに考える事を放棄していた。甲高くて短い声も自分の声じゃないみたいだ。腰がひとりでに 動いてそれを認めたくなくて、あたしはただ夢中で名前を呼んだ。 「……ッセー……、ヴォ、ト……!」 あたしの荒い息遣いだけが静まり返った部屋に響く。と、突然セーヴォトの指がピタリとその動きを止めた。 「……邪魔が入ったようですね」 セーヴォトは静かに顔を上げると、すぐそばにあったベッドからシーツを抜き取り、あたしの上に被せた。 明るい日の光の下体全てを晒される羞恥から一時でも逃れる事が出来た事に、有り得ないほどほっとする。 「いいですよ」 濡れた視線であたしを見下ろしながら、セーヴォトが呟く。 ……何、なの……。 そう返すよりも先に、部屋のどこかからくぐもった声がした。 「……っ!」 驚いたあたしに構わず、セーヴォトはあたしの髪を弄びながら、小さく頷いた。 「報告して下さい」 「――動きがありました」 今度ははっきりとした声が、聞こえた。聞き慣れない声に、あたしは唯一自由になる左手でシーツを握り締め、 部屋の中を見渡した。 「……っ」 ドアの前に、見たことの無い男が立っていた。文官姿の彼は、この状況に眉一つ動かす事無く、視線を伏せていた。助けでは無いと言う事は瞬時に分かった。彼も目の前のセーヴォトと同じ冷たい目をしていたから。 「時間切れですね」 冷ややかにそう吐き出し、微かに舌打ちした音が聞こえた。 それはあまりにも普段のセーヴォトの所作からはかけ離れていて、あたしは思わずセーヴォトに視線を向けた。 「ダリア様。私は今から魔導師協会に戻ります。……一週間程で戻れると思いますが」 セーヴォトは男の報告に、一度瞼を閉じ少し考える様に間を置いた。そして再び開いた その瞳には揺らいだ情欲も熱もすっかり消え失せていた。 ……穏やかな、いつものセーヴォトがそこにいた。 セーヴォト。 「……ッ」 胸が熱くなって、 堪えていた涙がふいに零れた。 堰を切った様にそれは次々と溢れて、気がつけば、あたしは子供のように泣いていた。 悲しいとかそんなのじゃなくて、違う、そういうのを通り越して、あたしは今、 目の前にいるセーヴォトに安心したのだ。 こんなのおかしい。 惨めな格好をさせて甚振って、酷い事をしたのはセーヴォトなのに、その本人に安堵感を覚えるなんて。 ……自分が知ってるセーヴォトが、消えてしまったようだった。 だから必要以上に怖かった。 答えの出ない矛盾をぼんやりと考えて、泣き止もうと顔を上げる。 滲んだ視界の中に入ってきたセーヴォトの表情が、微かに揺らいだ気がした。 何かを言いかけるように不自然に口が開かれたけど、何も言う事も無くすぐに閉じられる。 ――セーヴォト……? しばらく無言で見詰め合って、最初に口を開いたのはセーヴォトだった。 「……痛くしてしまいましたね」 そう言って、戒めていたあたしの手首と足を解放すると、 赤く残ったその跡に、騎士の様に恭しく優しい口付けが降ってきた。 どうして。 今になってこんなに優しくするの。 「……賭けをしましょう。ダリア様」 あたしのすぐ傍らに座り、髪を梳りながら、セーヴォトは静かに口を開いた。 「……え」 戸惑う視線を向けると、セーヴォトは表情を隠すように顔を伏せた。 「十年前の真相を探し当てればダリア様の勝ちです。……何でも貴女の願いを聞いて差し上げましょう」 「……真相……?」 そのまま反芻すると、セーヴォトはゆっくりと頷いた。 「――では、ごきげんよう」 セーヴォトはそう言って、戸惑うあたしを置いて、男と共に部屋から出て行った。 2007.12.10更新 |