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Episode24-セーヴォト ![]() 「セーヴォト?」 音も無く忍び寄り、ゆっくりと髪を撫でられる。一体何を、と言いかけた唇を セーヴォトの冷たい指が遮った。 「こんな夜更けに男の許へ尋ねてくるなんて覚悟は出来ていますよね」 問いと言うより明らかな断定形。抑揚のない声を吐き出した唇が首筋に押し当 てられてびくりと体が強張った。触れられた箇所がちりちりと熱をはらんで、そ の熱さに思い出したのは、あの時の出来事だ。 「っ……」 見渡せば狭い部屋にはベッドしかない。一人用の小さなベッドなのに、突然そ れが大きく存在感を増した。 「……す、するの?」 おそるおそる問い掛けたあたしにセーヴォトは一呼吸置いてくっと喉の奥で笑 った。微かに肩が震えてるのが触れ合った肌の振動で分かる。 そんなに笑う事ないじゃない……っ! セーヴォトは一度笑いを押さえて真っ赤になってるであろうあたしの顔を覗き 込む。眇められたその瞳は本当に楽しそうだった。 「随分直接的な表現ですね。こういう場合は回りくどいくらいの方が宜しいかと 」 家庭教師をしている時と同じ口調でセーヴォトはそう言い、あたしの髪を撫で る。言ってる事は破廉恥極まりないのに、こうも堂々と言われると逆にあたしの 方が恥ずかしい。 どうせ情緒なんてありませんよ、といじけかけて、話題がすり替えられてる事 に気付き、慌てて首を振った。 「そうじゃなくて! まだ聞きたい事が一杯あるの!」 気になってしょうがない。ここまで来たらうやむやにしたままっていうのは性 に合わない。 あたしが強い意志を込めて睨むと、セーヴォトは仕方ないとでも言うように溜 め息をつき、あたしから体を離した。 「一つだけですよ」 「えっ? え、と……、あ」 セーヴォトがこういう言い方する時は、どんな状況だって絶対折れない。今ま での経験上同じなのだろうと考え、あたしは何を聞こうか迷ってしまった。 ……魔導師協会の事でしょ、どうしてわざわざこんな場所に隠れてるかとか……あ、あと案内してくれた彼は何者なのかも気になる所だし。 「あと十数える前に仰らないと時間切れです」 「ちょ、ちょっと待って!」 本当に数え始めたセーヴォトに、あたしはぐるぐると頭の中に回る疑問を にひっつかんだ。 「えっと……そうだっ! 十年前のあの時どうしてあたしを殺すの途中でやめた の!?」 勢い込んだあたしの問いにセーヴォトは微かに片眉を吊り上げる。 「知ってるでしょう。カリウス家が失脚したからです」 「違う、そうじゃなくて……っ! ナゼルが庇ってくれたあの時の事! ナゼル が、失敗したんじゃなくて止めたんだって教えてくれたの。だから、あの瞬間に どんな心境の変化があったの? 確かにあたしを殺すつもりだったわよね?」 首を振って言葉を続けたあたしに、セーヴォトは一瞬虚をつかれたように黙り 込んだ。 「セーヴォト?」 もしかして、聞いちゃいけない事だったのだろうか。 部屋の中に落ちた沈黙にあたしはそう思う。不安になって見上げたあたしと目 が合うとセーヴォトはにこやかに微笑んで言い切った。 「恋に落ちたんです」 「……は?」 一瞬何を言われたか分からなかった。 恋に落ちた? 一体誰が。 何の冗談、とは聞き返し辛い、にこやかな笑顔に困惑する。 「一世一代の愛の告白なのにつれないですね」 目を瞬かせているあたしを見下ろし、セーヴォトはくすくすと声を立てて笑った 。 またからかわれたのかと一瞬思って非難の声を上げようとした、次の瞬間あた しはセーヴォトの腕の中にすっぽりと包まれていた。 「ナゼルを殺そうとした時、前に出て小さな体でナゼルを庇い、私を睨んだでし ょう。最後まで諦めない、生きようと足掻く貴女の強い瞳が強烈に生きる事に飽 いていた私の心を揺さぶった……とでも申しましょうか。今までの相手は怯えて 命乞いするか、諦観した空虚な瞳で私を見上げるかどちらかでしたから」 「え……」 そんな事……なの? 確かに暗殺者、つまりセーヴォトを睨んだのは覚えてるけど、たったそんな事 が、セーヴォトの意志を曲げたと言うのだろうか。 ……何だか納得いかないのは何でだろう……。 「本当に貴女は変わらない。先程私を愛してると仰って下さった時の瞳もあの時 と同じでした。気高く誇り高い貴女こそ女王に相応しいのでしょうね」 腰を強く掴まれ引き寄せられて、瞼を閉じるよりも先に唇が塞がれる。合図の ように軽く唇を啄んで、それは徐々に深いものへと変わっていた。 器用な指先がドレスのボタンを外して、剥き出しになった肩が心細くてセーヴ ォトに身を寄せると、微かに笑われた気がした。 膝に手が差し込まれ軽々と持ち上げられてびっくりする。それが顔に出ていた のだろう、セーヴォトは苦笑してからあたしを寝台に運んだ。 「私も一応男ですからね? 貴女位抱いて運べます」 「う、うん……」 確かにそれ位の力がなきゃ暗殺業なんて出来ないだろう。衣の下には意外 な筋肉が隠れているのかもしれない。 ――何となく見たいような見たくない、ような……。 言葉が見つからなくて、子供の様な返事を返してしまう。 「ダリア様」 あたしに引き続きセーヴォトの体重を受けて、きしりと固いベッドが鳴る。 「貴女を、抱きます」 何を今更、そう言いかけてあたしは開きかけた口を閉じた。あたしのすぐ真上 、覆い被さっているセーヴォトの表情は、穏やかな笑みを浮かべる家庭教師の顔 じゃなかった。かといって以前と同じ別人のような冷たさは無い。 あたしを見下ろす新緑色の瞳は、切なく眇められ不安そうに揺れている。 「セーヴォト……」 手を伸ばし、人形のように整った頬を撫でると、セーヴォトはその手に縋るよ うに擦りより、唇に押し当てた。 その一連の動作がまるで許しを得る罪人を思わせて。……ゆっくりとゆっくり とあたしの中でわだかまってた何かが氷解していくのが分かる。 ……ああ、あたしセーヴォトが好きだ。 天才魔導師でも、次期宰相候補でも、暗殺者だとしても。 全てが愛しい。 あたしは出来るだけ優しく微笑んで、ゆっくりと頷いて見せた。 ドレスはあっという間に脱がされ下着姿になる。剥き出しになった足や手 にシーツの感触が冷たくて体を震わせると、セーヴォトが温めるようにあたしを抱 き締めてくれた。 「さすがに前の様にはいきませんね」 コルセットの胸のリボンを引っ張りセーヴォトはあたしの顔を覗き込み、悪戯 っぽく笑った。 前回は寝着だったから、呆気ない程簡単に脱がされたけど、今回はドレス姿だ からしっかりコルセットを身に付けている。 「……脱ごうか?」 自分の姿を見下ろしそう聞いてみる。編み上げられたコルセットの紐は解くのが面倒で細かい。 しかもあたしだってカナに手伝ってもらってるから、時間を掛けない 自信は無いんだけど。 「いいえ?」 あたしの言葉にセーヴォトはにっこりと微笑んで首を振った。 小さく呪文を唱え、人差し指に繋がるように現れたのは氷のナイフ。長い爪の ような鋭い先端が燭台の火を反射しきらりと光った。 「セーヴォト?」 「じっとしてて下さいね」 そう言うとセーヴォトは慎重に指を動かしコルセットの編み目を撫でる。一つ 一つと拘束が緩まってセーヴォトが紐を切っているのだと気付いた頃には、その 作業は既に終わっていた。 い、意外に短気……。 何となく面と向かって言えなくて心の中で唸っていると、セーヴォトが再び呪 文を紡いだ。瞬時に氷の刃が跡形も無く消える。 「温めて下さいますか」 冷たい人差し指があたしの唇を撫でる。誘われる様に口を開けると、それは ゆっくりと歯列を割り口の中に押し入って舌の裏を撫でた。 「舐めて下さい」 耳元で甘く囁かれて、ジンと頭が痺れる。そのまま耳朶を咥えられ、背筋がぞ くぞくした。 冷たい人差し指に舌を絡ませると、掻き混ぜられ溢れた唾液が顎を伝う。それ を唇で掬い取りセーヴォトはまた耳朶の裏に舌を這わせた。 「ん、ぁ……ッ」 舌が絡み口の中をかき回され、息苦しさに仰げば息が鼻から抜けて上擦った声が 出る。 「可愛い声ですね。もっと鳴いて下さい」 熱い吐息と共に囁きが耳元に落ちる。 無惨に裂かれ、布切れになり果てた下着を剥ぎ取り、セーヴォトの手の平が体中 を優しく撫でていく。 胸の膨らみに到達すると、淡く色付いた先端の周囲を執拗に撫で、先端をわざ と避けるように揺らされた。ゆっくりと揉み込まれるその動きはじれったい程で 、その先の気持ち良さを知ってる体は催促するみたいに動いてしまう 。その間も舌は耳の中を飽きる事なく蹂躙していて、至近距離で聞こえる水音は 直接頭に響き体を蕩けさせた。 「んっ、あ、は、……ぁ」 ふいに胸の先端を掴まれ、腰が跳ね上がった。それを押さえるようにセーヴォ トの体重が掛かる。それは安心感をもたらす心地良い重みだった。 「……あッ」 「やはりココがいいんですね」 固くなった突起をちゅうっと強く吸われ、口の中で転がされ、刺激の強さに涙 が目に浮かぶ。縋るように手を伸ばしセーヴォトの頭を掻き乱すと、銀髪がさら さらとあたしの体を撫でて隠してくれた。 反対側を揉みしだいていた手が下に下りていって薄いお腹を撫でたり脇 の下を擽る様に動く。セーヴォトは気付けない程ゆっくりとあたしの足 を開くと、自分の体をその間に捻じ込んだ。 セーヴォトの体が下へとずれて、体の中心に息が掛かる。下着の上を長い指 が往復し、形を確かめるように時々強く押されて、その度に魚みたいに体が跳ね た。汗ばんだ肌は小刻みに震え、身体の奥がじとりと潤んでくるのが自分でも分かった。 セーヴォトは下着を取り払い、あたしの足を大きく広げるとそ の間に顔を埋め、すっかり膨らんだ突起をちゅうっと強く吸って舌で味見するみ たいに何度も往復させた。 「っ、やぁんッ」 声を上げる度強く押し付けられたり、小刻みに震わされる。派手な水音が羞恥 心を煽り、あたしは何度も首を振りセーヴォトの頭をかきむしった。 「今回は優しくしますから、大人しくして下さい」 くぐもった声でそう言ったセーヴォトは、言葉とは裏腹に膨らんだ突起のその 奥に舌を差し入れた。 溢れたそれを啜る音が耳に入って、あたしはセーヴォトの頭を掴んで止めさせ ようとするのに、力が、全く入らない。 「やッ……、んッぁんッ」 捻じ込まれた舌が探るように中を掻き回し、セーヴォトの高い鼻が突起に当た って擦れて押さえられない位高い声が出た。どうしようもなく気持ち良くて、催 促するみたいに腰が、揺れる。 「もう少し奥に欲しいでしょう」 「ひゃ……うッ」 勿体ぶるような言葉に指が添えられ、一気に突き入れられた。お腹の下を強く 擦られて一際強く突起を吸われてあたしは悲鳴のような声を上げて達してしまっ た。 それから何度も責め立てられ、身も心もどろどろに蕩けていった。 快感に意識が白く煙って夢なのか現実なのかよく分からない状態。 セーヴォトが腰を掴んであたしを引き寄せる。その意味を考える 間も与えられず、セーヴォトはゆっくりと自身を突き立てた。 「は……っあぁっ」 指とは違う圧倒的な重量が体を裂いて痛みに体を強張らせると、セーヴォトの 指が回り込み膨らんだ突起を潰すように捏ねる。耳元で甘い言葉を囁いて、ねっ とりと舌を這わされ気持ちも体も緩んだ所で一気に最奥まで突き入れられた。 「っい、……ぁあッ」 身体を裂かれる痛みに思わず背中にしがみ付くと、セーヴォトはあやすように 汗が浮いた額に口付けをしてくれる。 「……すみません。辛い思いをさせて」 何度も何度も口付けを落として、動かずじっとしてくれている。 その優しさが嬉しいと思って、半ば無理やり笑顔を作ると、「いい子ですね……」 と頭を撫でられた。 こんな時まで子供扱いされてる、とそう思わなかったわけではないけれど、 その手が温かくて優しくて幸せな気持ちの方が勝った。 「――動きますね」 暫くしてから、セーヴォトはそう呟いて太腿を優しく撫で膝の裏に手を差し入れた。 ゆったりとした動きは、痛みを押し上げて身体の奥の熱を呼び覚ましていく。 慣らしてくれるつもりなのだろう。セーヴォトは動きを早める事もなく ゆっくりと腰を動かしながら、指や舌を動かしあたしの 弱い所を再び愛撫し始める。また吹き出すように体が反応する自分 の体が恨めしい。まるで自分の体じゃないみたいで、背筋に駆け上がる快感に身を 捩ると中のセーヴォトの存在を強く感じた。ビリッとした痛痒い感覚が奇妙な疼痛 に変わって体を支配していく。 「……こんなにどろどろなのに、きつく締め上げてくれますね」 「……ッ! や、め……ッんんッ」 からかう口調で囁かれた言葉にあたしは非難の声を上げるけど、 確かにセーヴォトの言葉通りだった。繋がった場所から溢れるみたいに零れてお尻に 流れていくのが分かる。 セーヴォトはて溢れたそれを指で掬い、ツンと上を向いた胸の突起に 塗り付け、それを嘗め上げた。 「……っやっ……」 意地悪だ。セーヴォトがそんな風にしたくせに。羞恥心に首を振って目を閉じ るとあやすような優しい口付けが額に落ちた。 突起を捏ねていた指が上下に動き摘むように動き、覚えた快感を追う ように体が小刻みに震え、爪先までピンと力が篭る。 「っは、んん……ッっ」 何度目かの絶頂に高い声を上げて達すると、セーヴォトのくぐもった声が耳元 で聞こえた。それは今までに聞いた事ないくらい艶っぽくて、掠れた吐 息の熱さにも体の奥がゾクゾクした。 「……あまり締めつけないで下さい。これでも理性を押さえるのは大変なんですか ら」 咎めるようにそう言ってセーヴォトは少し強く奥を突く。 「ん……ッ」 たったそれだけなのにぐちゃ、っと粘着質な音が部屋に響く。 「っぁぅ……、っあ、やぁんッ」 中の様子を探る様ににゆっくりと掻き回される。大腿を高く抱え上げ られるその恰好は恥ずかしかったけれど、それよりもセーヴォトを受け入れて る体の奥がどうにかなってしまいそうで怖かった。 「慣れれば指よりも、こちらの方が好きになりますよ」 示すように最奥を強く擦ってセーヴォトはそう囁く。 そして大腿を高く持ち上げた かと思うとそのまま上に抱え上げ肩に担いだ。 「っや、ぁ……ッ」 凶暴な角度で突き刺されて、お腹がジンと痺れる。がくがくを揺らされ 繋がった部分から聞こえる淫靡な水音に耳を塞ぎたくなる。 「こうした方がイイ所に当たるでしょう?」 何度も擦られ、お腹の下を何度も抉られ鳥肌が立つ位気持ちいい。快感が 大きすぎて気持ちいいのか悪いのかそれすら分らなくなる。 前の突起を弄くる手が上に上がり胸を鷲掴まれ乱暴に揉まれる。痛い位の それが今はちょうど良い。 息が浅くなって次にやってくる波にセーヴォトに抱き付こうと手を伸ばす。 「しがみつかなくても逃げませんよ……最も逃がしませんけど」 セーヴォトはそう言いながらも頭を下げて首に手を回すように促してくれる。 しっかりと抱き込むと、それが合図の様にセーヴォトは激しく腰を使い出した。 「ゃ、っあっ……ッんっ」 「ダリア様も気持ちいいのですね……腰がこんなに揺れて」 どちらともなく寄せた唇を合わせて、くっついてない場所なんてないってくらい 肌も合わせ合う。 あのいつも冷静なセーヴォトが獣みたいに息を荒くさせて。そんな風にし たのが自分だと言うことが嬉しかった。 「――ッ愛してます……」 掠れた声で何度も囁かれる言葉に、心が、体が温かいもので満たされて、涙が 溢れた。 セーヴォトの背中に爪を立てて、何度も耳元で囁かれて、あたしは怖い位の快 感と幸福感に流される様に意識を白く飛ばした。 2008.2.15更新 |